【4月30日付編集日記】先入観

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 白河二所の関とは(中略)恐ろしき嶮岨(けんそ)、鬼も出づべし―俳句で知られる明治の文学者正岡子規は初めて本県を訪れる際、関東との国境(くにざかい)をこんなふうに想像していた

 ▼しかし白河の城下に着いた25歳の子規は「火にぎやかにともし連ねたる」情景を発見し、片田舎と侮ると思わぬ不覚を取る―などと随筆「旅」に記している。誇張もあるだろうが、当時の東京の知識人が抱いた未知の土地「東北」への先入観が見て取れる

 ▼この先入観、どこか東日本大震災後の本県についての風評を連想させる。複雑な気分だが、いわき市がまとめた昨年の観光客数に少しほっとした。前年比で4.3%の増加。震災後初めて800万人台を回復した

 ▼常磐道の全通や全県的な大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」が奏功したとみられ、今後数字がまとまる他の地域でも回復が期待できそう。今年も「アフターDC」はじめ各種の観光企画が県内各地で矢継ぎ早に展開されている

 ▼さて、子規はその後、1週間ほど県内を巡り人々の素朴な人柄の良さを記した。人の情けが彼の先入観を覆したようだ。これから本県を訪れる人にも「旅は情け」を実感してもらえれば、と思う。