【5月18日付編集日記】「気」と「質」

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 明治初期に米国に留学し、後に福島中(現安積高)校長を務め本県の教育改革に尽くした能勢栄。校長時代の講演で、欧米諸国の学問を引き「人の本性を『気』と『質』の2つに分けることができる」と学生たちに教えた(朝河貫一博士顕彰協会「朝河貫一と四人の恩師」)

 ▼「気」は人が目で見ることができる部分、「質」は人の目には見えない部分という。「両方が共に備わって、『気』が盛んで『質』が強固であってこそ一人前」と説いたとされる

 ▼東大大学院の関谷直也特任准教授が先日、福島大公開講座で風評被害をテーマに講演した。本県の放射性物質の検査体制に触れ「県内では県産品への不安は和らいでいる。一方で県外では情報に接する機会が少ない」と県内外の認識の差を指摘した

 ▼本県の風評対策を能勢の教えに当てはめれば、徹底した検査体制はさしずめ「質」、検査に基づく県外への安全性アピールは「気」にも例えられよう。関谷准教授の指摘は、情報発信する「気」の部分への問題提起でもあろう

 ▼今も幅広い県民から風評被害に苦しむ声が聞かれる。消費者や取引先に、県産品への正確な知識、情報に理解を深めてもらう施策と、丁寧な説明が求められる。