【5月20日付編集日記】判官びいき

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 「判官びいき」という言葉がある。判官は「九郎判官」、つまり源義経。元々は、兄頼朝と対立し悲劇的な最期を遂げた義経への哀惜を指す言葉だったという

 ▼転じて今は力の弱い者、劣勢の側を応援することをいう。この判官びいき、いつの時代も多いようで、昭和初期の小説「姿三四郎」は、会津出身の柔道家西郷四郎をモデルにしたといわれる小柄な主人公の「柔よく剛を制す」の活躍が人気を呼んだ

 ▼近年では先に引退発表した女子マラソンの野口みずき選手。身長150センチながらアテネ五輪では金メダルに輝き全国を沸かせた。三四郎が必殺技「山嵐」を編み出したと同様、野口選手は大きなストライドを武器にした

 ▼小兵が技で勝負するのは、スポーツの世界だけでない。二本松市の大山忠作美術館は今春、桜を描いた日本画ばかりの企画展で約3万8000人を集客。しゃれた趣向が受けたのだろう。約1カ月で年間入館者数の最多記録を1万人以上塗り替えた

 ▼著名な作家の作品を集めたのもヒットの要因だろうが、それも日本画の専門美術館という地道な活動と周囲の信頼があってこそ。義経のように「八艘(はっそう)跳び」とはいかずとも、努力を見守る「判官びいき」は確かにいる。