【5月22日付編集日記】ふるさとの光景

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 外観が見え始めてきた。会津若松市のJR会津若松駅にほど近い城北町に建設中の県営復興公営住宅の工事が、8月の完成に向け終盤を迎えている。入居することになる避難住民にとっては大きな一歩となる

 ▼良かったと思いながらもどこか違和感を覚える。建物は地域に溶け込むよう配慮されている。気になるのは周囲にあまり人の気配がしないこと。そもそも、地元に空き家が目立つのだ

 ▼店じまいが相次ぎ、にぎわいをなくした商店街をシャッター通りという。空き家の中には店の名残の建物もある。おいしいラーメン屋もあった。一昔前は一等地と称されたこともあろう地区にあって、空き家の林立は寂しい

 ▼持ち主それぞれに事情はあろう。地元の不動産業者に聞くと「子どもが親元を離れて別居し、売りたくても売れずに放置される家もある」という。個人の問題にそう簡単には介入できないが、町が維持できないおそれもある。空き家は、もはや社会問題だ

 ▼原発事故で古里を追われ新天地で前を向こうとする人たち。一方、温かく迎えてほしいその地元には思い出が詰まった家を残して去った人たちの空き家。ふるさと―。心の隅で問い掛ける小さな町の片隅の光景である。