【5月27日付編集日記】ぶれない信念

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 「漫画の神様」と言われた手塚治虫さん。漫画からアニメ界にまで大きな影響を残し、1989年2月に亡くなった。数々の名作を世に出したその業績はいまも色あせない

 ▼手塚さんが亡くなる数カ月前、仕事にかける信念が、垣間見えたことがある。88年の秋、公開に先駆けて催された米国映画「ロジャー・ラビット」の記者会見。手塚さんは作品の魅力を語るという仕事で現れた

 ▼その時に見た手塚さんの頬はげっそりとこけ、目の下にくまができていた。病気を押して出席したのだろう。新聞やテレビで知っていた、ふっくらとした手塚さんのイメージはどこにもなかったことを思い出す

 ▼取材したその当時は「なぜ、そんな状態で仕事を」と思った。いま考えると「仕事の約束は、どんなことがあっても守る」という強い思いがあったのだろう。手塚さんのそのぶれない信念こそ、名作を生む力になっていたのではと思う

 ▼こちらに求められるのも、一貫した信念だろう。三重県志摩市で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開幕した。先進7カ国の首脳が世界経済やテロ対策、難民支援などの問題で議論を交わす。世界の安定へ。この信念の実現に向け、熱心な討議を求めたい。