【5月31日付編集日記】結核の連鎖

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 明治期の俳人、正岡子規は「血を吐きながら鳴く」といわれるホトトギスの異称「子規」を雅号に採用し、結核により喀血(かっけつ)を繰り返す自身に重ねた。結核は当時、不治の病とされたが、子規は病を顧みず日清戦争の従軍記者となり、無理を重ねたことが命を縮めたといわれる

 ▼子規のほかにも石川啄木や堀辰雄ら結核を患った作家が明治から昭和初期にかけ、闘病体験を作品に投影している。しかし現在は治療法が確立して、当時に比べ患者が減ったことから過去の病気とのイメージが強い

 ▼世界保健機関(WHO)によると2014年の結核の死者は150万人もおり、いまも猛威を振るっている。インドやインドネシア、中国などで増えているが、日本でも毎年新たに約2万人、県内は約200人の患者が発生している

 ▼特に、薬の服用を途中でやめるといった誤った対応などで薬が効かなくなる多剤耐性結核の増加が懸念されている。WHOは今月、声明を発表して注意を呼び掛けた

 ▼結核は初期症状が風邪と似ているため医療機関の受診が遅れてしまいがちだ。無理せず早めに受診することが重症化と、身近な人たちへの感染を防ぐ。一人一人の心掛けで結核の連鎖を断ち切りたい。