【6月1日付編集日記】海岸林の再生

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 「万葉集」の和歌に登場する数々の樹木の中でも、マツを詠んだ歌の数は上位に入る。昔から、多くの人たちに身近な木だったのだろう

 ▼万葉の時代、宴席で朗詠する「宴誦歌」として知られる「松の葉に月はゆつりぬ黄葉の 過ぐれや君が逢はぬ夜の多き」(池辺王)は「松」と「待つ」をかけ、愛(いと)しい人に長い間会えない切なさを詠んだとされる。マツのある風景は、時代を超え、たくさんの物語や伝説の舞台になってきた

 ▼「白砂青松」を演出するクロマツは高さが約30メートル、幹の直径は2メートル近くにもなり、枝を広く張るのが特徴という。海岸のマツ林は先人たちが長い年月をかけて植林してきた場所が多いといわれる。古くから砂防林などとして沿岸地域の住民たちの暮らしを守り、環境保全に役立ってきた

 ▼各企業、団体が本県の沿岸に多くのクロマツの苗木を植え、東日本大震災の津波で流失した海岸林の再生に貢献している。景勝地でもある海岸林の再生は、防災とともに、地元住民の心の復興の支えにもなろう

 ▼2018(平成30)年、南相馬市原町区の海岸防災林をメイン会場に全国植樹祭が開かれる。多くの県民の参加によって海岸林再生への機運の高まりを期待したい。