【6月11日付編集日記】ニホニウム

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 宇宙にある全ての物の基本要素となる元素。それらの元素を分類して並べた周期表は1869(明治2)年、ロシアの化学者メンデレーエフによって作られた。当時発見されていた元素は63種類だったが、メンデレーエフは未知の元素の性質まで予言していた

 ▼同じ年、日本で初めて化学を専門的に教える官学校「舎密(せいみ)局(きょく)」が大阪に開校した。オランダから学校長を招き開校講演を行ったが、あまりのレベルの高さに理解できる人はほとんどいなかったという。当時の日本はまだ化学研究の黎明(れいめい)期にあった

 ▼それから約150年。周期表に、森田浩介九州大教授ら理化学研究所のチームが発見した113番元素「ニホニウム」が載る見通しとなった。日本はこれまで、新元素命名に一歩届かなかったことが2回あった。ようやく悲願達成だ

 ▼新たな元素の合成は、原子力の発展とも深く関わってきた。森田教授らは原発事故で失われた科学への信頼を取り戻したいとの思いで、研究を続けてきたという

 ▼震災と原発事故から5年3カ月を迎えた。いまだ課題が山積する廃炉を成し遂げるために欠かせないのは、やはり科学の力だ。進化を遂げる科学と英知を結集しさらに復興を加速させたい。