【6月12日付編集日記】美術の復興展

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 雨の季節が近い。美術館巡りも楽しい時期だ。東京・上野公園は駅の目の前に美術館から博物館まで並ぶ芸術鑑賞スポットだが、西のはずれ、東京芸大大学美術館まで足を運ぶ機会は少ないだろう

 ▼開催中の展覧会は「いま、被災地から―岩手・宮城・福島の美術と震災復興」。同大と被災3県の県立美術館などが主催し、全国美術館会議による被災美術の救出活動や、3県内の収蔵美術品を紹介している

 ▼隣の東京都美術館で開かれた若冲展があまりの人気で5月は陰に隠れていたが、目の肥えたファンは見逃さなかった。本県では県立、郡山市立、いわき市立の各館から関根正二や斎藤清、佐藤玄々らの作品が並び、来館者を引き寄せる

 ▼津波被災美術品の運び出しと修復、原発事故避難区域で遅れた救出状況のパネル展示と並んで、修復後の作品も姿を見せ、水の破壊力を見せつける。傷みを一つ一つ丁寧に直しては、地域の誇りに再び生命力を与える作業も印象深い

 ▼東京芸大の復興支援は目を見張るものばかりだ。美術品や音楽が被災者の心を癒やし、再起に向け奮い立たせてくれることは言うまでもないが、その後ろで奮闘する人間たちの営みもまた、心を揺さぶる。26日まで。