【6月15日付編集日記】葛尾の凍み餅

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 春から夏の植え付けや草刈り、秋の収穫に忙しい農繁期、農家の人たちが作業の手を休め、栄養補給や休息に当てる間食のことを「小昼」という

 ▼県内では「こびり」「ごじゅうはん」とも呼ばれる。家族や隣近所の人たちが田んぼの畦(あぜ)や畑の片隅に輪をつくり、汗をぬぐうひととき。世間話にも花が咲く、どこか懐かしさを感じる農村の光景だ

 ▼春の農繁期や養蚕期の小昼によく用いられてきたのが凍(し)み餅。ヨモギやゴボウの葉に似た「ごんぼっぱ」などを入れた餅をつき、冬の厳しい寒さと乾燥に晒(さら)して作っておく。凍み豆腐や凍み大根と並び、東北の「凍み文化」を代表する伝統の保存食だ

 ▼水にもどしてから焼き、しょうゆや、きな粉を付けていただく。郷愁を誘う味は近年、市場に出回るようになり、県内の農村地域でも販売用に製造されるようになった

 ▼原発事故に伴う避難指示の一部が解除された葛尾村で、凍み餅の製造・販売事業が再開に向けて動きだした。「いつか葛尾で再開する」と心に決めていた農家の「おふくろ」の強い思いからだ。加工所を新設し早ければ来年3月には販売できそうという。「小昼」のようなひとときも取り戻すだろう。村の復興はこれからだ。