【7月4日付編集日記】奇跡のアジサイ

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 梅雨空の風景に彩りを添えてくれるアジサイ。初めは白かった花の色が日を経るごとに藍、紫、薄紅などと変わっていくのが「七変化」とも呼ばれる由縁だ

 ▼須賀川市の深谷武雄さん(71)の畑でアジサイが見頃を迎えている。このアジサイは、東日本大震災で決壊した農業用ダム「藤沼湖」の湖底で見つかった。60年以上も水に覆われていた場所に群生していたことから「奇跡のアジサイ」と呼んでいる

 ▼地元の長沼商工会は、奇跡のアジサイの"里親"を募り、株を増やす取り組みを進める。湖底から移植したアジサイを深谷さんが育て、北海道から沖縄まで千人以上の里親に株分けした。湖の復旧工事完了後の来年6月、里親たちと一緒に湖周辺に植樹する予定だ

 ▼各地から花の成長を知らせる便りが届く。がんで闘病する女性からは「必ず病を克服し、来年の植樹に行きます」、大地震があった熊本からは「花の姿を見て元気をもらっています」。深谷さんは「アジサイが里親に希望を届ける存在になれば、うれしい」と話す

 ▼決壊で荒れ果てた湖底でさえもアジサイは芽吹き美しい花を咲かせた。その力強い生命力に励まされながら、地域再生への変わらない思いがつながっていく。