【8月2日付編集日記】親子の愛情

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 怪談といえば、夏の風物詩の一つだ。子ども時代、夏休みで泊まりに来た友人たちと部屋を暗くして怖い話を語り合ったことを思い出す。口さけ女や、ろくろ首などの姿を想像して、背筋が寒くなったものだ

 ▼一方、心優しい幽霊が登場する怪談もある。伊達市霊山町に伝わる「あめ買い幽霊」だ。町のあめ屋が店を閉めようとすると、白い着物を着た若い女が赤ん坊を抱いて訪れた。「お乳が出ないので、あめを一つください」というので売ると、毎晩来るようになった

 ▼店の主人が不思議に思って女の後をつけてみると、寺の墓前で姿が消えた。その墓から赤ん坊の泣き声がしたため掘り起こすと、女の亡きがらのわきで赤ん坊があめをなめていたという

 ▼子どもを守ろうと、母親が幽霊になって現れたという似たような話は、日本各地に伝わる。昔の人々は、子どもに対する親の愛ほど強いものはないという思いを民話に託してきたのだろう

 ▼なのに、これはどうしたことか。児童虐待の恐れがあるとして1~6月に県警から児童相談所に通告があった子どもが、昨年同期に比べて大幅に増えたという。不変であるはずの親の愛が揺らぐ時代が来ているのかと思うと、背筋が寒くなる。