【8月4日付編集日記】個性ある教育

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 少年は関節炎や腎臓病を患っており、小学校は長期欠席が多かった。学校を休んだ日、寝ている少年の心を慰めてくれたのがラジオで、物語の朗読や落語に夢中になった

 ▼休みがちなため、授業についていけず、勉強は苦手だった。ただ、ラジオを聞いていたおかげで話をするのは大得意。雨で運動場が使えなくなった体育の授業では少年の話を聞く時間にしようと先生が提案し、みんなで少年の語りを楽しんだという

 ▼亡くなってから、きょうで丸20年となった渥美清さんの子ども時代の逸話だ。人前に立ち、相手を楽しませる喜びを知ったことが、後に渥美さんが名優へと成長する原点になったのだろう。渥美さんの長所を見抜き、伸ばそうとしてくれた先生の存在も大きい

 ▼学校教育は転換期を迎えつつある。2020年度から実施の次期学習指導要領に小学校の英語教育の充実や、コンピューターのプログラミングを学ぶ授業が盛り込まれるという。国際化や情報社会に対応した人材の育成は重要な課題だろう

 ▼一方で子どもの個性を伸ばす教育も求められる。テストの点数ばかりを追っていては「それを言っちゃあ、おしまいよ」と嘆く渥美さんの声が泉下から聞こえてきそうだ。