【8月13日付編集日記】命をつなぐ

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 近所に住む男の子がしゃがみ込み、地面にシャベルで穴を掘っていた。何をしているのか聞くと、飼っていたカブトムシが死んだので埋めてあげるのだという。小さな石を墓石代わりに置き、一緒に手を合わせた

 ▼そんな折、最近刊行された絵本「つちはんみょう」(舘野鴻著)を読んだ。主人公は甲虫のヒメツチハンミョウだ。県内でも春から初夏にかけて草むらなどで見られる。絵本はこの虫の一生を細密な水彩画で紹介している

 ▼黒くて地味なヒメツチハンミョウだが、生き方はドラマチックだ。一度に約4千個の卵を地中に産む。地表に出た1ミリほどの幼虫はめいめい、餌があるヒメハナバチの巣を目指す。自分ではあまり動けないため、他の虫にしがみつき少しずつ移動し、最終目的地の巣穴に運んでくれるヒメハナバチの到来を待つ

 ▼しかし、ほとんどの幼虫はヒメハナバチに会えず、生き延びることができるのは一握りだ。作者の舘野さんは幼虫たちの冒険を通して「奇跡の末に生まれた命」を描きたかったという

 ▼この時期、虫の飼育に取り組む子どもたちも多いだろう。虫の世界にも必死で命をつなごうとするドラマがある。その小さな姿から生きることの意味を教わる。