【8月30日付編集日記】台風への警戒

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 秋の季語「野分」は、いまでいう台風のことで、草木を吹き分ける風という意味がある。源氏物語には「野分、例の年よりもおどろおどろしく、空の色変りて吹きいづ」とあり、台風の到来に右往左往する人々の様子が描かれている

 ▼大木の枝が折れたり、御殿の瓦が吹き飛ばされたりするほどの嵐に、光源氏は「格子を下ろせ」などと指示する。一方で女房たちは庭の花が散るのを気にしてぼんやりと眺めている。台風のさなかでも花の命に思いを寄せる姿は、「もののあわれ」を重んじた王朝人らしいというべきか

 ▼先々週の小欄で、ことしは台風の到来が少ないと書いたがその後、台風のラッシュが始まった。きょう東北への上陸が予想されている台風10号を含めると、今月だけで四つの台風が日本に上陸したことになる

 ▼10号は、統計を取り始めた1951年以降で初めて、太平洋側から東北に直接上陸する可能性があるという。勢力は強いとみられている。早急に備えを確認したい

 ▼台風らしい風が吹いてくることを「野分立つ」という。野分き立ち、庭の草花が散り乱れるようになったら警戒を最大限に強めたい。何よりも自分の命を守るため、冷静な行動を取ることが大切だ。