【9月2日付編集日記】地図と震災

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 今が人類始まって以来最も地図が閲覧されている時代に違いない―と地図研究家の今尾恵介さんは言う。多くの人がスマートフォンで簡単に地図を見ることができるからだ

 ▼だが今尾さんは、スマホで閲覧できる地図の多くは簡略化され地域の様子がよく見えないと不満げだ。逆に細かな記号や等高線が記された地図からは、情報の読み取りに習熟すれば「景色が見えてくる」と言う(集英社「地図マニア空想の旅」)

 ▼詳細な地図からは、意外な事実も分かる。東日本大震災後、日本地理学会がまとめた津波の到達ラインを記した地図を見ると、津波が届かないぎりぎりの場所に多くの神社仏閣が点在していた。防災に関する先人の知恵が垣間見えるようだ

 ▼県は、大震災や原発事故の記録と教訓を後世に伝えるアーカイブ拠点施設を2020(平成32)年にも双葉町中野地区に建設する。保存する情報や機能については検討が重ねられているが、「景色が見えてくる」ほど詳細な情報を手軽に利用できることが理想だ

 ▼情報を防災や復興のために生かす、利用者側の取り組みも必要だろう。時代を超えても震災の教訓が読み取れる古地図のようなアーカイブ拠点施設にすることが大切だ。