【9月22日付編集日記】曼珠沙華

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 〈秋のかぜ吹きてゐたれば遠(おち)かたの薄(すすき)のなかに曼珠沙華(まんじゅしゃげ)赤し〉。曼珠沙華は彼岸花の別名で、歌人斎藤茂吉はたびたび歌に詠んだ。葉のない茎を伸ばして、その頂に深紅の花を咲かせた曼珠沙華の姿は、秋の風物詩だ

 ▼茂吉は随筆に「直接法に無遠慮にあの紅(あか)い花を咲かせている。そういう点が私にはいかにも愛らしい」と記している。江戸時代まで詩歌の題材になることはあまりなかった曼珠沙華だが、茂吉は独特の美しさを見いだしていたようだ

 ▼曼珠沙華の魅力を多くの人に楽しんでもらおうという取り組みが二本松市で進んでいる。まちづくり団体の会員や住民らが、安達ケ原ふるさと村周辺に花を植栽し、日本一の群生地を目指す。これまで約5.5ヘクタールに約21万6000本を植えた

 ▼ことしは花の見頃に合わせて初の「曼珠沙華まつり」を開いており、県内外から見学者が訪れる。彼岸の中日で「秋分の日」のきょうは、まつりのメインイベントとして太鼓演奏などを行う

 ▼桜をはじめ花の名所は数多いが、曼珠沙華の名所は全国でも少ないようだ。まつりは「地元が活性化すれば」と、多くの住民が協力したことで実現できた。その思いはきっと、地域の元気となって花開くはずだ。