【9月30日付編集日記】清廉の俳人

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 郡山市出身の俳人深見謙二さん(俳名深見けん二)の代表句の一つに「人はみな なにかにはげみ 初桜」がある。毎年桜の咲き出す頃、自宅近くの寺に通って作り続け、たどり着いた句だ。以来、深見さんは一つの季題に集中して取り組むと、時に自分を超えた句を授かると思うようになったと述懐する

 ▼深見さんは、高浜虚子の最後の弟子だ。四季の変化や人間界のさまざまな現象を客観的に詠む「花鳥諷詠(ふうえい)」と、作者が見たり感じたりしたままの光景を表現する「客観写生」の理念を受け継いだ。格調高く心地よい響きの作風から「清廉の俳人」と称される

 ▼金の産出地として知られる同市熱海町の高玉鉱山で父親が働いており、小学2年生まで市内で育った。故郷への思い入れは強く、同鉱山や東日本大震災を題材にした作品もある。埼玉県在住で、94歳の現在も俳句の世界に身を置く

 ▼深見さんにスポットを当てた企画展が10月8日から、こおりやま文学の森資料館で開かれる。自身が歩んだ人生を振り返る初めての展示会だ

 ▼地元が生んだ偉大な俳人の作品は興味深い。会社勤めの傍ら俳句を詠み続け、70年以上にわたり情熱を注いできた生き方から学ぶべきことは多いだろう。