【10月4日付編集日記】露伴と二本松の提灯祭り

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 明治の文豪として知られる幸田露伴は本県との縁がある。「露伴」のペンネームは福島市から郡山市まで夜通し歩いたつらさを詠んだ俳句から付けたという

 ▼その句は「里遠しいざ露と寝ん草枕」。作家を志し、勤務先の北海道から実家の東京に戻る途中、県内入り。郡山駅から汽車に乗る旅費を節約するため歩いた。特に夜中に到着した二本松からは道の真ん中に寝転がるほど、体力と気力の限界だった。その様子を道中記の「突貫紀行」に書いている

 ▼寝転がって休んだのは、当時の奥州街道で二本松市市街地にある亀谷坂という説がある。地元ではゆかりの地をアピールするため句碑が立ち、坂の駅「露伴亭」を運営する。道中で露伴が食べたとされる餅を販売している

 ▼二本松市ではきょう約370年の伝統を誇る二本松の提灯(ちょうちん)祭りが始まる。4日は市内7町全ての太鼓台が夜中まで練り歩く。亀谷坂は太鼓台が一直線に並ぶ見どころの一つ

 ▼露伴の道中は提灯祭りの頃だ。突貫紀行に「市は祭礼のよしにて賑(にぎ)やかなれど我が心の淋(さび)しさ云(い)ふばかりなし」とある。勇壮な祭りばやしの響きは、露伴にはむなしく感じられたようだが、城下町の人にとってはかけがえのない活力の源だ。