【10月9日付編集日記】不思議な出合い

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 1918年、スペインのバルセロナにあるカタルーニャ美術館。当時14歳だった画家のサルバドール・ダリは、同郷の画家マリアノ・フォルトゥーニの壁面を覆う超大作に引き付けられた

 ▼作品は、モロッコ・スペイン戦争の一場面を描いた歴史画「テトゥアンの戦い」。その四十数年後ダリは、当時の感動を再生するように、同じシーンを題材に、人馬が疾駆する大作「テトゥアンの大会戦」を描き上げた

 ▼芸術の感動は、人生と響き合い、時代を超え受け継がれていく。そんなことを思わせるエピソードだが、ダリの「大会戦」は身近な所で、ある人の人生とも響き合っていた

 ▼2010年、熊本市出身の大野方子さんは、ダリ作品の収集で知られる北塩原村の諸橋近代美術館で「大会戦」と出合った。そして同館が現在収蔵するこの作品が縦3メートル、横4メートルの大きさのため館内でも移動したことがないと説明を受けた

 ▼その後、大野さんは縁あって同館の学芸員になり、今年は、その不動の大作を館外へ貸し出す大仕事にも携わった。大野さんは、この出合いに不思議なものを感じるという。「大会戦」は今、東京の「ダリ展」で出張公開中。不思議な出合いが生まれているかもしれない。