【10月12日付編集日記】虫歯予防

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 夏目漱石に師事した随筆家で物理学者の寺田寅彦は、幼少期から長く虫歯の痛みに苦しんだ。随筆「歯」では、吸い物のシイタケをかみ切った時に虫歯の前歯が折れた出来事を、漱石が小説「吾輩は猫である」の材料にした、と紹介している

 ▼寺田は子どもの頃、歯の手術の痛さに腹を立て母親にくってかかったという。その経験が要因にもなり、大人になってからの治療が遅れた。そしゃくが難しくなり40代で入れ歯を作ったことも明かしている

 ▼寺田の時代から歯科医療が飛躍的に進歩した今も歯の健康に悩む人は多い。県内では、虫歯のある6歳児の割合が2014年度、65・5%となり、全国で最も高いという心配なデータもある

 ▼虫歯予防に向けて県と県歯科医師会は5月、「県フッ化物応用マニュアル」を作成した。歯質の強化や口の中の抗菌に有効なフッ素を含むフッ化物を使ったうがいや、歯磨きなどを勧めている

 ▼県教委は、フッ化物によるうがいなどを県内の学校で推進するため、今月中にも学校関係者向けのガイドラインを作成する。何歳になっても自分の歯でおいしく食べたり、楽しく話したりするためには子ども時代の虫歯予防が肝心なことを忘れてはならない。