【10月19日付編集日記】出作り小屋の再生

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 檜枝岐村の農家には、自宅から遠い農地周辺に仮住まいとなる「出作り小屋」を建て、農業に励んだ歴史がある。山の雑木を切って小屋掛けした簡易なものから、長く使うために普通の家と同じように建てた小屋までさまざまだったらしい

 ▼村史では、地形などの関係で農地が分散していたため、農家が季節ごとに移動して農作業をしたことを「出作り小屋方式」と説明している。この方式で栽培したソバを使った「裁ちそば」などのそば料理が尾瀬を訪れる人たちに喜ばれていたことも紹介している

 ▼1970年ごろまで村内に点在していたが、次第に姿を消していった出作り小屋。本県出身の彫刻家ら2人が「文化的に価値の高い施設。後世に残したい」と、美術館としての再生に取り組んでいる

 ▼2人は5年ほど前、山荘とともに敷地内の出作り小屋を取得した。来年度の開館を目指し改修を進めている。2人の作品を展示するほか、村民らにも作品発表の場に活用してもらう計画だ

 ▼村内に現存するかやぶき屋根の出作り小屋はこの1軒だけだった。村の農業を支え、歴史を紡いできた出作り小屋が芸術文化の発信拠点に生まれ変わり、檜枝岐村の新たな息吹となることを願いたい。