【11月4日付編集日記】鍋の季節

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 寒くなると大勢でつつく鍋料理、いわゆる鍋物を発明した先人の偉大さに改めて感じ入る。手軽に調理でき、おいしく、そのうえ楽しい

 ▼調理器具で食器でもある鍋の誕生は江戸時代。飯野亮一著「居酒屋の誕生」によると、当時は鍋焼(なべやき)と呼び、飲食店で料理を小さな土鍋のまま客に提供した。それが、やがて少人数でつつき合う、現在の鍋物の原型である料理「小鍋立(こなべだて)」に発展した

 ▼発展の背景には、当時の技術革新があった。18世紀後期、丈夫な鋳物製の浅い小鍋が登場すると、扱いやすかったのか、小鍋立は飲食店で流行。明治以降は、この鍋を囲むスタイルが一般家庭へも普及していった

 ▼今、この「技術革新=イノベーション」という言葉をよく耳にする。県内では、浜通りで廃炉やロボット産業などの集積を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が始動した

 ▼ただ、この構想に対しては「地元産業との関わりがイメージできない」との声もある。豪華だが汁になじまない食材ばかりの鍋ではいただけない―ということだろう。ならば、地元になじむ下ごしらえが必要。そして人と人とを結びつける、鍋のような技術革新を生むのなら言うことはない。