【11月7日付編集日記】若者による地方創生

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 山あいの温泉街に香ばしい匂いが漂っていた。その香りに誘われて歩いていくと、炭火の上でウナギのかば焼きがジュウジュウと音を立てて焼き上がっている。勧められて口にすると、ふっくらとした触感で実においしかった

 ▼ウナギを焼いていたのは福島高スーパーサイエンス部の生徒たちだ。同部は昨年から福島市の土湯温泉で温泉水の熱を利用したウナギの養殖を始めた。きのう温泉街で行われたイベントで、そのウナギが初めて振る舞われた

 ▼同部は、淡水魚と海水魚を同じ水で育てることができる「好適環境水」の研究に取り組んでいる。温泉街に建てたビニールハウス内に環境水を入れた水槽を設置し、温泉熱で水温を調節してウナギを育ててきた

 ▼土湯温泉は、東日本大震災と原発事故による風評被害で宿泊客が減少した。そのため生徒たちは地元温泉街の復興を手伝おうと、部活での研究を生かした特産品づくりを思い立ったという。今後は、同じ水槽でマダイやトラフグも養殖する計画だ

 ▼生徒たちは、温泉の旅館やホテルで養殖した魚が提供されることを目指す。いずれ温泉育ちの高級魚がお膳を飾る日が来るだろう。若者たちによる地方創生への取り組みが頼もしい。