【11月11日付編集日記】歌い継がれる校歌

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 70歳を超える大先輩と、卒業したばかりの後輩が声を合わせて歌うことができるのが校歌だ。「同窓生を結ぶ絆で、伝統そのもの」。かつての双葉高校長が生徒会誌にこう寄せている

 ▼双葉郡の古い地名を用い「楢葉標葉のいにしえの」で始まる双葉高の校歌には、時間を惜しまず学業に励み、卒業後も理想を高く持って堅実に歩むという建学の精神が込められた。旧制中学時代から約90年歌い継がれている

 ▼歌詞の一節に「天の恵みは満ち足れり」がある。山を背に海を望む双葉郡の恵まれた風土を表している。しかし原発事故で住民はその故郷を追われ同校も避難した。生徒はいわき市のサテライト校で学んできたが、同校は来春休校になる

 ▼双葉高と、同じく休校になる浪江、浪江津島校、双葉翔陽、富岡各高校の生徒が校歌に寄せる思いを新聞にして残そうと、相馬などの高校新聞部が編集作業を始めた。新聞は12月の県高校総合文化祭で配布される

 ▼避難先の高校ではなく、サテライト校で学ぶことを選んだ双葉郡の高校生。新聞部員は取材で「校歌は誇りであり、古里の象徴だ」と知ったという。復興に歩む生徒や卒業生を励ますように、校歌はこれからも胸の中に流れ続ける。