【11月15日付編集日記】子は宝

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 万葉集には男女間の愛を詠んだ歌が多い。その中にあって子を思う親心をよくテーマにした山上憶良は特別な存在感を放っている。〈銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむに優(まさ)れる宝子にしかめやも〉。子に優る宝はない―との歌からは憶良の子煩悩ぶりがうかがえる

 ▼子どもたちの好物を見てはその姿を思い出す寂しさや、子を亡くした親の痛切な悲しみを詠んだ歌など、憶良の作品からは血の通った温かさが伝わってくる。親子の情愛は、1300年前の昔もいまも変わらない

 ▼きょうは「七五三」。その起源は平安時代に遡(さかのぼ)る。当時は病気や栄養失調などで子どもが無事に育つのが難しかったため、子どもは7歳まで「神の子」とされていた。七五三は、災厄を逃れた子どもの成長を祝う儀式だった

 ▼県内の神社でも、晴れ着に身を包んだ子どもの姿が多く見られるだろう。子どもが元気に大きく育つことは、親にとって何事にも変えることができない喜びだ

 ▼一方で、子どもが犠牲となる事故が全国で起きている。集団登校中の通学路や、家族と遊びに行ったイベント会場など身近な場所に危険は潜む。社会の宝でもある子どもたちを守るため、あらゆる危険に目を光らせるのは全ての大人の役割だ。