【11月18日付編集日記】SNSの殻

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 クリスマスのプレゼントは何にしたらいいか、デートはどこでするか...。こうした選択に悩む時、以前はノウハウ本を参考にすることが多かった。「マニュアル世代」という言葉もあった

 ▼しかし最近はSNS(会員制交流サイト)でつながる「自分と似た仲間」の意見に耳を傾ける傾向が強いという。仲間同士の意見は、SNS空間でこだまのように反響して強め合うのが特徴だ。別のSNS空間では全く別の意見が反響しており、意見が分極化する。非寛容な分断社会になったとされるゆえんでもある

 ▼「仲間」の意見が重視される昨今は、「専門家」受難の時代でもある。知的エリートの言葉に昔ほどの影響力はない。イギリスのEU離脱は識者の間では大変評判が悪かったが、英国民はそれを選んだ

 ▼ほとんどの米メディアが支持したクリントン氏が大統領になれなかったのも同じ構図だ

 ▼本県の風評被害問題も、こうした流れに翻弄(ほんろう)されているのかもしれない。専門家が安全性を強調しても、SNSの外殻にはねかえされて、メッセージが十分に届いていない恐れもある。その殻にどうやって穴を開けるか。もどかしさが募るとともにメディアの責務の重さを自覚せざるを得ない。