【11月28日付編集日記】石川暎作

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 英国の経済学者アダム・スミスは著書「国富論」で、競争を活用した市場原理に基づき経済を運営すれば、経済はうまく進むと主張した。現代ではこの理論を「見えざる手」と呼ぶが、明治時代に日本で初めて紹介された時は「智らず、知らず」と翻訳された

 ▼訳したのは、西会津町出身の石川暎作。大蔵省の官僚だった石川は、急激なデフレの進展で民間経済が疲弊していることに危機感を持ち、職を辞して西洋経済の研究や翻訳活動に取り組んだ。日本の近代経済学の発展に残した足跡は大きい

 ▼石川は一方で、女学校の設立や、日本初の本格的女性誌「女学雑誌」の発刊を提唱するなど女性の権利を広げるための活動にも力を注いだ。結核のために28歳の若さで世を去ったが、その人生は濃密だった

 ▼石川の死を悼み、仲間たちが東京に建てた碑が先日、西会津町の郷土歴史資料館に移設された。ちょうど没後130年での帰郷だ。町は移設を機に、石川の功績を広くアピールして地域活性化につなげたいという

 ▼経済のグローバル化や女性の活躍推進は、いまも大きな課題となっている。病と闘いながらも、日本の未来を描き続けた郷土の偉人の姿から学ぶべきことはたくさんある。