【12月4日付編集日記】新聞と視覚障害

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 手のぬくもりや手触りが伝わる新聞を作りたいと思っている。映像や音声と違い、活字と写真で情報を伝える新聞でも、言葉を駆使すれば可能なはずだ

 ▼先日、視覚障害者と支援ボランティアの団体が社内見学に訪れた。新聞記者の情報と語りは障害の壁を越えられるか。原稿の執筆から印刷までコンピューター制御された今、社内には手触り感のあるものが極めて少ない

 ▼今や使われていない印刷用の活字から最新鋭のカメラまで集めて触れてもらった。しかし、最終的に新聞社の仕事を正しく伝えられたのは、ボランティアの丁寧な説明だ。障害者の身になって情景や展示資料を分かりやすく詳細に音声にしてくれた

 ▼新聞も朗読してもらえれば、目が不自由な人にも伝わる。本や行政書類などは機械が音読してくれる時代になった。進化する音声化技術によって、パソコンやスマホは障害者に不可欠な道具になってきている

 ▼新聞の文字列は複雑で、機械にはまだ読み取れない場合がほとんどという。それでもAI(人工知能)が発達すれば、いつかは県内約5500人の視覚障害者と新聞を結んでくれるのではないか。「いつも妻が読んでくれるんだよ」。温かい言葉に力が湧いた。