【12月10日付編集日記】IR法案

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 「借りる。負ける。さらに借りる。さらに大きく負ける」。ギャンブルの怖さと言えば、数年前に発覚した大手製紙会社の創業家元会長による特別背任事件を思い出す

 ▼海外のカジノで巨額の負けを背負い、子会社から借り入れを重ねた。「歯止めが利かなくなり、借入金はどんどん拡大していった」と手記にある。ギャンブル依存は「進行性で自然治癒はない」と医師で作家の帚木(ははきぎ)蓬生(ほうせい)さんは著書「やめられない」で指摘する。治療が必要な病気なのだ

 ▼それなのに国内でカジノを解禁する法案が延長国会で急浮上。依存症に加え、治安悪化や暴力団の関与など多くの問題が指摘されながら、衆院を超スピードで通過、自民党は今国会中の成立を目指す

 ▼安倍政権は、ホテルや大型会議場などが一体となった統合型リゾート施設(IR)の整備を成長戦略の目玉に位置付け、外国からの観光客が増えて、雇用も生み出すとアピールする。しかし本当に観光客が増えるだろうか

 ▼日本人の気配りやおいしい食事、美しい自然に触れてもらう―。それが2020年東京五輪の招致でも掲げた「おもてなし」ではなかったか。ギャンブルで観光客をもてなそうという発想はその心からかけ離れている。