【12月14日付編集日記】失敗学

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 失敗学会初代会長の畑村洋太郎東大名誉教授は、失敗の原因を正しく知る手法として失敗学の「逆演算」を著書で提案している。起こるかもしれない結果を先に考え、そこに至る道筋の要因とからくりを探るという考え方だ

 ▼逆演算を実践すれば失敗が想定でき、深く、広い予見ができるという。畑村さんは、不注意などが原因で繰り返す失敗は重ねるうちに悪癖にもなりかねないとも指摘。失敗が成長する前につぶしておく大切さを強調している

 ▼東京電力福島第1原発で今月起きた3号機原子炉への注水停止は、作業員の防護服が注水ポンプのスイッチに引っかかったことが原因という。スイッチを覆う保護カバーが外れてレバーが動いたと、東電が発表した

 ▼作業員の不注意が招いたトラブルだが、原子炉の溶融燃料の冷却が一時停止するという看過できないミスだ。廃炉現場では小さなミスでも重大事態につながる。東電は作業員の失敗も想定した上で、作業手順を整えることが必要だった

 ▼畑村さんは「失敗を学ぶことによって成長し、進歩し、強くなる」とも記している。廃炉を着実に進めていくためには原因を究明し今回の過ちを教訓に万全の対策を講じることが欠かせない。