【12月28日付編集日記】老舗企業

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 作家司馬遼太郎は著書「この国のかたち」で、会社で働く日本人について「会社に『公』を感じるところがある。ときに、圧倒的に感じる」と、その気質を記している

 ▼司馬は、江戸期の商人は、貧を誇りで耐え、役についた場合は私利を顧みず、一部の商人は藩や天下など「公」のことを考えていた―とする。この江戸期の商人文化が潜在文化として残り、現代の若者が会社員を望む日本的事情の「原型」になった、と説いた

 ▼江戸期創業の老舗など、県内で創業100年以上の老舗企業が来年、779社となるのが東京商工リサーチの調査で分かった。東北最多で、全国でも13位にランクされた。広い県土の各地に温泉旅館や酒蔵が数多くあることなどが要因とされる

 ▼あらためて地元の老舗に思いをはせると、子ども時代の記憶にたどり着く人もいるだろう。地域の経済や教育・文化など各団体の活動に力を尽くし、地元で功績が語り継がれている老舗企業の当主や社員も多い

 ▼景気の浮き沈みや、時代の変化などの風雪に耐え、会社と地域の発展に尽くした社員らの長年の苦労は、並大抵ではなかっただろう。老舗企業が地域の宝として継承され、また新たな年を迎えることを願う。