【1月3日付編集日記】大仏グラブ

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 政変や飢饉(ききん)、大地震が次々と起こり、天然痘も流行した奈良時代、社会は不安感に包まれていた。聖武天皇は、仏教の力で国家を安定させようと743年、東大寺に大仏を造るための詔を出し、一大国家プロジェクトがスタートした

▼完成まで7年の歳月を要した大仏建立には、当時の人口の半数近い延べ260万人が関わったという。以来、戦で焼き打ちに遭うなど受難もあったが、その度に再建され、「奈良の大仏さん」は1200年以上にわたって人々を見守ってきた

▼奈良県の野球グラブメ ーカーが一昨年、本県など被災地の野球少年らとともに、大仏の右手とほぼ同じ大きさの全長3・6メートルの巨大なグラブを作った。グラブは東日本大震災からの復興を願い、東大寺に奉納されていた

▼そのグラブが通常の大きさに作り直されて先日、いわき市の中学生たちに届けられた。2千人以上が制作に関わった「大仏グラブ」には、実際に使ってもらうことで被災地を勇気づけたいとの気持ちが込められている

▼東大寺によると、大仏の左手は宇宙の知恵、右手は慈悲を表しているのだという。大仏さんのグラブを手にはめた少年たちにはきっと、技術上達という御利益があるに違いない。