【1月7日付編集日記】七草

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 アニメ映画「この世界の片隅に」を見た。戦時中の広島県を舞台に、海軍文官に嫁いだ主人公すずの暮らしを描いた物語だ。配給の米や物資が乏しく、空襲も日常茶飯事という環境にあっても、前向きに生きるすずの姿が心に響いた

 ▼中でも、すずが料理を作るシーンが強く印象に残っている。わずかな米と近所から摘んできた野草を混ぜたおかゆなど、質素な料理ばかりなのに、すずの表情はとても幸せそうだった。平凡な日々の中にこそある喜びに気付かされたような気がした

 ▼原作の漫画によれば、すずがおかゆの中に入れていたのはジャガイモと野草のハコベだった。ハコベは、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ホトケノザ、スズナ、スズシロと一緒に「春の七草」に数えられている

 ▼きょうは、七草がゆを食べるという家庭も多いだろう。もともとは一年の無病息災を祈る風習だが、冬に不足しがちな青物野菜のビタミンを補給し、胃腸も整えることができるという栄養的にも理にかなった行事だ

 ▼年末年始はごちそうを食べ過ぎたという人もいるだろう。松の内が終わり、日常の生活が戻ってくる。当たり前の毎日を送ることができる幸せに感謝しながら、おかゆの滋味をかみしめる。