【1月8日付編集日記】味のある顔

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 年明けの東京の演芸場で、芸人たちの話芸を聞くのが好きだ。正月初席の顔見せだけに、芸人たちが次から次へと登場して、短い出し物を披露する

 ▼中でも高齢の噺家(はなしか)がいい。長年、芸に打ち込んだ成果が顔に表れていて、いい顔だなと思う。とても「味のある顔」なのだ。ハンサムな顔立ちというのではない。名前も寄席通いを続けているような熱心な落語ファン以外は知らないだろう

 ▼しかし、自分の選んだ道を信じて努力すると「人間、こんなに深みのある顔になるんだ」と思う。芸人として生きていくため、気持ちを引き締めて高座に上がり続けた結果なのだろうと思う

 ▼年の瀬に1年間、お世話になった人たちに会いに行った。果物農家だったり酒店の経営者だったりと業種はさまざまだが、いずれもその仕事ぶりが高く評価されている人たちだ。年齢は30代から70代までと幅広いが自信にあふれるいい顔だった

 ▼「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」と服飾ブランド・シャネルの創始者、ココ・シャネルは話している。人生の努力と年齢の積み重ねがその人の表情に表れるということなのだろう。「味のある顔」になるために、有意義な1年を紡いでいきたい。