【1月17日付編集日記】内部告発

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 その書状には「九死一生の思い」とつづられ、覚悟の大きさがにじんでいる。郡山市歴史資料館の企画展「民衆の叫び」で展示されている手紙だ。江戸時代の後期、守山藩(現在の同市田村町など)の役人をしていた青木専三郎が書いた

 ▼郡山の陣屋に勤めていた青木は、上司の郡奉行が名主から賄賂を受け取っているのを知った。青木は不正をただそうとするが、郡奉行の怒りを買ったためかリストラに遭う。そこで青木は江戸へ行き、殿様への直訴状を提出する

 ▼いまでいう「内部告発」だ。しかし当時は下級の役人が上役にたてつくことなど許されなかった時代。命がけの行動だっただろう。青木は告発後、外出禁止を命じられた。一方で、郡奉行は江戸に戻されることになったという

 ▼いまも、企業や組織の不正を内部の人間が告発するには相当な勇気が要る。政府は内部告発をした人が不利益な扱いを受けないように守る公益通報者保護制度を強化する考えだ。消費者庁に一元的な窓口の設置などを検討するという

 ▼内部告発は、企業や組織が健全性を保ち、社会からの信頼に応えていくためにも必要だ。勇気を振り絞って行動した人が守られないような社会であってはならない。