【1月26日付編集日記】浪江の物語

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 むかーし、むかしのお話。人を化かすことが大好きな古ギツネがいた。困った村人たちは、甚六という知恵の利く若者にキツネを退治してくれるよう頼んだ

 ▼「ほんじゃら、こらしめてみるっぺ」。甚六は化かされたふりをして、キツネを小さな石に変身させた。甚六は、その石をつぼに閉じこめ、キツネを降参させた。浪江町棚塩地区に伝わる民話だ

 ▼同町民らでつくる「浪江まち物語つたえ隊」は、町を舞台にした紙芝居を作り、県内外で上演している。冒頭の民話は出し物の一つだ。活動は、原発事故のために全町避難している住民たちに古里へ思いをはせてもらおうと、震災の翌年から始めた

 ▼当初、紙芝居の題材は民話が中心だったが、徐々に震災をテーマにした物語も加わった。中でも「無念」という題名の紙芝居は原発事故発生時の消防団員の苦悩を描いた内容で、アニメの作品も制作した

 ▼アニメは3月、フランスで上映会が開かれることになった。「甚六のキツネ退治」などの紙芝居も披露する。語り部の岡洋子さんは「震災と原発事故の風化が進む海外で、復興へと向かう姿を発信してきたい」と意気込む。いつもの方言で、フランスの人々に語り掛けてくるつもりだ。