【2月3日付編集日記】県民の歌

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 双葉の地名のいわれを歌った詩人土井晩翠による双葉高校歌など、原発事故避難に伴うサテライト校の校歌を現役生が披露できる機会は、休校を前にした卒業式を残すだけだろうか

 ▼それでも同窓の人々は忘れずに学びやの思い出と誇りを、ふと口ずさんでは共有するだろう。歌は不思議な力を持っている。顔も名前も知らない同士が、曲を合わせるだけで、場所も時代も超えて熱い思いを分かち合える

 ▼社歌が見直されているという。個が優先される時代。しかし、結び合う力がなければ組織は成り立たない。団結の絆を担うのが歌。ただしポップな曲やラップ調まであって、若い社員を相当に意識しているらしい

 ▼自治体の曲を持つ市町村もある。楽都郡山の市民の歌は式典などのたびに流れ、安積野の夜明けのすがすがしさが市民意識を高ぶらせる。会津坂下町民歌も公式行事の定番で老若男女が古里をたたえあう

 ▼「県民の歌」は今月11日が50歳の誕生日。貧しさが珍しくなかった1967(昭和42)年、若者が夢と希望を輝かせて声を合わせていた時代。時を経て、原発事故が県民の間に不協和音を生んだ今こそ、軽快な曲を共に歌い、心地よいハーモニーを奏でていければいい。