【2月7日付編集日記】長田文庫

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 「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間か言いあててみせよう」。18~19世紀のフランスの法律家で、美食家として知られるブリア・サヴァランは「美味礼讃(らいさん)」に書いている。食事の好みでその人の性格が分かると

 ▼「食べ物」を「本」に置き換えてみても同じことが言えるという。「あなたが読んだ本というのは、あなたが誰かを語ってしまう」。そう著書に記しているのは、詩人の長田弘さんだ

 ▼長田さんの蔵書を集めた「長田弘文庫」が、古里である福島市の県立図書館に開設された。「故郷の人たちに読み継いでほしい」との遺志を受け、寄贈された蔵書は8千冊を超える。それら、すべての本が館内で閲覧できるようになった

 ▼ニーチェの詩集に井伏鱒二の全集、トルストイの自伝、ボブ・ディランのパンフレット―。展示コーナーには文学から歴史、哲学、宗教、社会科学まで多様なジャンルの本が並ぶ。会場を訪れたファンの「長田さんの脳内を探検しているかのよう」との感想が印象深い

 ▼詩人はこれらの本の中から、たくさんの言葉を発見したのだろう。長田さんからの「おすそわけ」はきっと、県民の心にも豊かな栄養をもたらしてくれるはずだ。