【2月19日付編集日記】高原の駅

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 「しばし別れの/夜汽車の窓よ/云わず語らずに心とこころ」。1951年に小畑実が歌い、大ヒットした「高原の駅よ、さようなら」はこのフレーズから始まる。曲を付けたのは浪江町出身の作曲家佐々木俊一で、町民にとって思い出の多い歌だ

 ▼歌のモデルは同町の高瀬川渓谷。2007年にはJR浪江駅前に譜碑が建立され、曲が流れる自動音声装置も設置されたが、原発事故による全町避難後、そのメロディーは町民に遠い存在となった

 ▼「高原の~」など本県ゆかりの歌謡曲を演奏し、来場者に歌ってもらうコンサートが、3月12日にいわき市で開かれる。東京都の音楽ボランティア「おもひでチューズデー」が出演する

 ▼同グループは震災後、同市の仮設住宅を慰問して、音楽で被災者を励ましてきた。入場無料のコンサートは3回目で、多くの浪江町民が同市で避難生活を続けている現状を思い「高原の~」を初めて演奏曲に加えた。リーダーの橋本保憲さん(63)は「故郷の歌を大きな声で歌い、元気でいてほしい」と願う

 ▼長引く避難生活の中でも、忘れられない古里の歌がある。そして震災と原発事故の風化が危惧されているが、福島のことを決して忘れない人々がいる。