【2月23日付編集日記】エンゲル係数

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 江戸時代の人々は初物は縁起がよいと考えて、好んで食べた。特に人気が高かったのが初ガツオ。1カ月も待てば数十分の1まで値段が下がるのに、有り金をはたいて買い求める人も多かったという

 ▼江戸川柳に「井戸端でみせびらかして刺身をし」とある。たまのごちそうに得意顔の町民の姿が目に浮かぶ。一方で、初ガツオの時期はエンゲル係数も跳ね上がったに違いない―などと無粋な想像をしてしまった

 ▼家計の支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数。この数値が高いほど他の支出に回す余裕がなく、生活が苦しい―と学校で習った。どこか懐かしい言葉だが、再び注目を集めている。総務省の昨年の家計調査で、2人以上世帯の数値が25.8%となり、29年ぶりの高水準だったという

 ▼食生活が変わり、スーパーで総菜などを購入する「中食(なかしょく)」や、外食が増えたためとの指摘がある。だがやはり、世帯収入が伸び悩む中、食品の値上がりなどもあって生活が苦しいと感じている人は多いだろう

 ▼折しも春闘の季節だ。世帯の収入が増えれば、景気の好循環につながる。「たまにはごちそうでも食べにいくか」と思えるような、気前のいい回答が聞こえてくることを期待する。