【2月25日付編集日記】1粒の涙

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 納得がいく形ができるまで何枚でも描く。時にはそれが100パターンを超えることもある。涙を描く時は3、4粒描いてから1粒ずつ除く。残った1粒が最も悲しみを表すとの考えからだ

 ▼オランダ人作家ディック・ブルーナさんは著書の中で作品づくりの秘密を明かしている。作品は、世界中で愛されているウサギのキャラクター「ミッフィー」。日本では「うさこちゃん」の名前でもおなじみだ

 ▼ミッフィーは1955年生まれ。日本語を含め、多くの言語に翻訳され世界で8000万部以上売れた。アニメ化もされて、人気キャラクターとなり、赤ちゃんが初めて出合う一冊「ファーストブック」としても上位に名を連ねている

 ▼ブルーナさんは親日家でもある。東日本大震災の時には大粒の涙を流すミッフィーを描き、被災地の人々の心を慰めた。県内でも絵本展やミュージカルなどが各地で開かれファンは多い

 ▼登場人物はみんな真っすぐ前を向いている。たとえ体が横を向いていても顔は正面向きだ。子どもたちの真っすぐな目に応えようとしたからだ。ブルーナさんはこの世を去ったが、これまでもらったメッセージは心のぬくもりとして残る。ミッフィーには涙は似合わない。