【3月2日付編集日記】漢字

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 素朴な表現が多い日本語は、漢字を当てはめることで、その意味が表せるようになった。漢字研究家の故白川静さんは「漢字は文字記号として、これほど瞬間把握力に優れたものはない」と、著書で記している

 ▼例えば「おもう」を漢字で書けば、「思う」は相手をおもんぱかることであり「念う」は気持ちを抑えている様子だ。「懐う」と書けば哀悼を意味し、その成り立ちでさまざまな感情を言い分けられる。多くの詩人や作家は漢字を上手に使いこなし、優れた文学を生んできた

 ▼漢字は古代の人たちが物や人の動作などから原型を作った。喜多方市では先日、子どもたちがアイデアを凝らして、新しい漢字をつくろうというコンクールがあった

 ▼異常気象を「天候が荒れる」を一文字にした「*」、親友を「友」と「心」を組み合わせ「●」とした漢字などが寄せられた。「侭」をボランティアと読ませる作品もあり、子どもたちの豊かな創造力が表れていた

 ▼若者を中心に活字離れによる読解力の低下が指摘されて久しい。漢字は成り立ちを知ると面白さが増す。本を開いて、漢字の仕組みに思いをはせる。そんな時間を持つことが、想像力と創造力を育むことにつながるはずだ。

*=天の下に荒、●=友の下に心