【3月3日付編集日記】被災者の思い

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 丘と海が白波を立ててせめぎ合う波立海岸は、いわきを代表する景勝地。しかし国道6号の中でも荒波が押し寄せる難所だ。先月、ここから久之浜の町並みを眼下にして大きく西に回り込むバイパスが開通した

 ▼浜通りでは太平洋に向かう大小の川が、狭い平地と「ひな壇」のような丘をいくつも作った。大津波は川沿いの平地を襲い、多くの尊い命をのみ込んだ。高台を通るバイパスは、忌まわしい災害から逃れる道でもある

 ▼では犠牲になった人々と、丘をはい上がり九死に一生を得た人々との生死の境はどこにあったのか。国道6号を縦断すると震災後にできた大きな表示板に出会う。津波浸水区間起終点標識。「ここから大震災の津波浸水区間」と教えている

 ▼そこまで行けば助かると保証するラインではないが、避難の目安にはなりうる。一方で震災6年を目前にした今でも県民を悩ましているのが、放射線の影響の有無、原発事故賠償の有無に関わる二つの線引き

 ▼被ばくは学説をめぐり、原発事故は加害者が主導する賠償方針をめぐり、境が見えないばかりに不安と不満が消えない。久之浜の丘から大海原と青空を眺めるように、スカッと心が晴れる日が早く訪れますように。