【3月9日付編集日記】わが家の防災

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 「臆病と云ふことは不徳ではない。のみならず場合によれば野人の勇敢よりも遥(はる)かに尊い道徳である」。臆病を肯定的にとらえた作家内田百閒の言葉は防災についても当てはまるだろう

 ▼臆病な人が増えたということか。住友生命が家庭の防災対策や意識の変化を探るために行った「わが家の防災」アンケートで何らかの防災対策をしている人は75%となり、前年に比べやや改善した

 ▼この1年を振り返れば、4月に熊本地震、8月には統計史上初めて太平洋側から東北地方に上陸し、県内にも爪痕を残した大型の台風10号、10月には鳥取県中部地震と大きな災害が相次いだ。意識の高まりは当然といえる

 ▼一方で、1年の間に新たに取り組んだ対策は「特になし」とした人が76%に上り、防災対策のために使ったお金も平均で2501円と、前年より706円も少なくなった。結果からは家庭の防災が後退しているようにもみえる

 ▼東日本大震災と原発事故から6年。毎年この時期になると、苦労したあの日、あの時のことを思い出すが、万一への備えはおろそかになっていないだろうか。天災はいつやってくるか分からない。災害には臆病であっても、対策には積極果敢に取り組みたい。