【4月1日付編集日記】さくらモール

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 開店前から並んだ人たちの、喜びを抑えきれないような表情、店内で品定めする幸せそうな顔。富岡町の中心部に全館オープンした公設民営の複合商業施設「さくらモールとみおか」の写真が紙面を飾った

 ▼買い物、ショッピング。言葉の響きは違っても何かうきうき感が伴う。原発事故による全町避難が一部を除いて解除され、帰還の判断材料に商業施設の再開が挙げられる富岡だが、買い物客の笑顔のわけは生活維持だけではなさそうだ

 ▼古くは「市」が庶民の楽しみだった。双葉郡でも実りの秋には浪江で「十日市」、富岡で「えびす講市」が目抜き通りに立ち、近隣町村の人々でにぎわった。買い物に加え、見せ物小屋や露店が並ぶ雑踏の中で人と人が談笑し再会を喜んだ

 ▼時は流れて市が商店街に、さらにショッピングセンターが取って代わった。郊外のモールのにぎわいは、お目当ての品を手にするだけでなくエンターテインメント感覚が心を刺激するからか

 ▼町を復活させてにぎわいを取り戻すには、生活再建への悲壮感や復興への使命感だけでは続かない。知り合いの笑顔と笑顔が醸し出す元気やエネルギーがものを言うはず。新聞も笑顔をつなぐ情報のモールになりたい。