【4月3日付編集日記】お弁当

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 「これ、すごくかわいい」「そんなに小さいのだとおなかがすくよ」。スーパーの弁当箱売り場で母と娘らしき2人が話していた。春からの新生活で学校に弁当を持って行くようになったのだろうか。ほほ笑ましい光景をしばし見つめた

 ▼富岡町出身のミュージシャン渡辺俊美さんは、高校に通う息子のため、3年間毎日弁当を作った。当時、男手一つで子育てをしていた渡辺さん。育ち盛りの息子のためにはコンビニの弁当より手作りのほうがいいだろうと考え、弁当作りを始めたという

 ▼最初のおかずはシンプルな卵焼きなどだったが、徐々に「えびと3色ピーマンのオイスターソース炒め」など手の込んだ料理になり、弁当箱にも凝った。息子がダイエットを始めると、油を少なめにして野菜を多くとれるよう工夫した

 ▼弁当を作り続けた3年間で息子の食の好みも変化し、大人になったと実感したこともあったという。渡辺さんは「弁当が手紙の代わりをつとめてくれた」と著書に書いている

 ▼弁当作りは大変だ。でも、親の愛情が詰まっていることを子どもは知っている。朝に手渡した弁当箱が夕方に空っぽになって戻ってくる。弁当は親子で交わすラブレターなのかもしれない。