【5月22日付編集日記】極上の時間

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 博識ぶりが伝説のようになった芥川龍之介。その生涯の読書量は5、6000冊だったのではないか。詩人の長田弘さんは「本という不思議」(みすず書房)で文学研究者の試算を紹介している

 ▼35歳で世を去った芥川が、本格的に本を読み始めたであろう年齢を考慮した上で、創作や寝食などに使った時間を差し引き読書量を推定した。対象は和漢洋さまざまだっただろうから相当な読書家だったのは間違いない

 ▼県教委が小中高生を対象にした昨年度の読書に関する調査結果をまとめた。1カ月間の平均読書冊数は小学生11.6冊、中学生2.6冊、高校生1.5冊で、前年度と同様、年齢が上がるにつれて冊数が少なかった

 ▼しかも「1カ月に1冊も本を読まない」高校生は47%強と、依然半数近くに上る。読まない理由は「部活動で時間がない」が最も多く、「マンガなどが楽しい」「読まなくても困らない」と続く

 ▼何のために人は本を読むのだろうか。長田さんは同書で、チリの小説家が書いた作品をひいて教えてくれる。「『極上の時間』をみずから手にするために」。今月は図書館振興月間。まずは1冊の本を手に取って部活などとはまた違う極上の時間を味わってみてはいかが。