【6月11日付編集日記】OJONCO館

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 かつて宿場町だったいわき市西部の三和地区に築100年の古民家がある。元々は幕末の戦乱を逃れてきた武士が、漢方医として定住した診療所だ。住民が庭の手入れに訪れるなど、交流の場としても親しまれた

 ▼その古民家を、東京都在住の磐城女(現磐城桜が丘)高の卒業生3人が引き継ぎ、交流館として再生した。名前は「OJONCO(おじょんこ)館」。この春改修を終え、再スタートした。交流館では、首都圏から訪れた人たちが住民らとのふれあいを通し、里山の魅力を肌で感じている

 ▼おじょんこは地元の言葉で、袖のない綿入れ半てんのことだ。三和地区では生活に欠かせない衣類として女性たちが今も愛用している。おじょんこのぬくもり同様、地域住民が首都圏からの来訪者をやさしく出迎える

 ▼いわき市は、二地域居住など田舎暮らしを望む人の移住に力を入れる。市は東京都港区と連携して体験交流ツアーを新たに始め、いわきの良さを発信している

 ▼解体の危機にあった古民家は再生され、地域住民の憩いの場となり、そして都市と地方の交流拠点になった。地域に残る「遺産」を上手に生かしてさまざまな交流が生まれれば、移住を考える人も増えるはずだ。