【9月8日付編集日記】魚市場の競り復活

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 東京の台所・築地市場では一つの競りがわずか数秒で終わる。競り台に居並ぶ仲買人たちが指を曲げたり伸ばしたりして、国内外から集まる魚などを次々に競り落とす

 ▼同市場の競りは「手やり」というやり方だ。指の形で1~9の値が決まっていて、仲買人は指で買いたい品物の価格を示す。名人は指で価格を示している間、次に競り落とす値を考えているそうだ(「あいうえ築地の河岸ことば」福地享子著)

 ▼所変われば競りのやり方も変わる。いわき市の漁港にある魚市場では、個々の仲買人が価格を紙に書いて競り合う「入札」だ。しかし原発事故後は入札が中断し、仲買人組合が一括して買い上げる「相対取引」になっていた

 ▼原発事故の発生からまもなく6年半。同市漁協が沼ノ内魚市場で入札を再開した。市場には魚を目利きする仲買人や水揚げした魚の価格に注目する漁業者の姿が見られ、事故前のような光景が戻った

 ▼同市漁協の再開で、試験操業を行う全ての漁協で入札が復活した。入札は、仲買人それぞれの販売ルートを生かして流通先を増やすことができるという。本県のおいしい魚を全国の多くの人に味わってもらえれば、漁業再生へのさらなるステップになる。